nimanima review2 of beagles-official

このページには、Beaglesの5th Full Album『nimanima』についてのレビューが掲載されています。

別の視点から、さらに『nimanima』を読み解いていくための、【nimanima Guide Books】

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nimanima Review 2

ユニークなサイケポップグループ

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ひょんなことからBeaglesというサイケポップグループのレビューを書くことになった。
彼らは顔を明かさないスタイルで活動しているグループで、shin君以外はプロフィールが全くつかめない。
実はshinくんの1人プロジェクトではないのか?という噂もあるみたいだ。

だが、そんなことは大したことではないんじゃないかと思う。
見るべき物事は音楽であり、彼らの音楽にはじっくりと耳を据えて聴くだけの価値があると思う。(じゃなければ、レビューなんて書かないよね)

という前置きから始まるわけだけど、彼らの音楽は実にユニークだと思う。そして非常にポップな音を鳴らしている。
Necoze danceなんて、「猫背を治そう」なんて歌っちゃっているのだけど、言葉とは裏腹にサウンドはユニークで、なかなかブッ飛んでいる(僕はこの曲から、現代音楽的な前衛性を感じたのだけど、皆さんはいかがだろう?)。


同じくユニークな歌詞が並ぶテクノポップ、Tomato sause。
これも面白い楽曲だ。

Tomato sause by Beagles

内容は中身があるのかないのか、よく分からない。
トマトソースをこぼした歌なのかと思いきや、途中から歌詞の内容は判別不可能な状態となる(少なくとも僕には)。
サウンドはどこかクールで、冷たい印象を受ける。ポップなのに、温度を感じない。空間を少しずつ塗り替えながら、曲は少しずつボルテージを上げて、進んでいく。あくまで表情を崩さずに。

そしてこの曲のハイライトがやってくる。
僕はぞっとした。

「もう君にすがることないよ。もう嫌だ、言えるのは最後」

いきなり、歌詞に具体性が与えられ、同時にサウンドはメランコリックになる。
前半のトマトソースとは何か関係があるのだろうか?と、思考をフル稼働させて考えてみる。そして、自分が不安にとらわれているのに気づく。彼らは既にそこにはいないのではないだろうかと。


この曲にはテクノのメランコリックが濃縮されている気がする。
人力では鳴らせない音、憧れ、敗北感。そんなものがこの曲には詰まっている気がする。
というのは考えすぎでしょうか?笑

文字数の関係上、ここには書けないが、収録曲はどれもキャッチーなメロディに彩られていて、実に聴きやすい。
ジョージ・オーウェルを題材にした、インド風味のサウンドが印象的な『1984』。
Jinoさんという女性アーティストを招いて作られたという、様々な声が宇宙空間を飛び交っているような、幻想的なダンストラック『Night theater』。
冬の教会を彷彿とさせるような、厳粛で、幻想的で、温かみのある『White voice』。

他にも名曲は多い。名曲、という表現がマッチする楽曲でもない気がするけど(笑)。
この文章を読んで、彼らに興味を持った人間がいれば、是非アルバムを聴いてみることを勧める。

2012/04
Kazuya Mine


nimanima Review

Melancholic Music

終始メランコリックな音楽。
音はポップなのに、常にどこかに影を感じる。
何かを失った後の世界なのだろうか?
それともこれから何かを失うのだろうか?

サウンド的にはDTMを主体にした音楽という趣。
サンプリングした音をエディットしてサウンドに組み込む手腕は、なかなか面白いと思う。
(以前ツイッターで、チョコのかじる音のサンプリングだけで何か作っていたと記憶している)

コーネリアス以後の音楽といった感じ。
そこに新しさはあるのか?新しいようだが、どこかでぬるま湯に使っているようにも思える。
それはポップであるための代償みたいなものか?いや、それとこれとは関係ないだろうなと考え直す。

ただ、Tomato sauseやNecoze danceに代表されるような独特の言葉遣いからはオリジナリティを感じる。ああいうシュールな言葉遣いは面白い。

この先どんなふうに彼らが活動していくのかが楽しみだ。

ちなみに、顔もメンバーの情報も明かさないというコンセプトにはなんの新しさもないが、想像する楽しさはある。そこの部分を追求していく価値のある音楽だとは、思う。

つまらない音楽に染まらないように気をつけて、オリジナリティ溢れる音楽を発信していってください。

2012/05
Turuga Tamaki

Night theater by Beagles

Night theater

宇宙空間を縦横無尽に駆け回っていくかのような『Night theater』は、複数の声を実に有機的に組み合わせてグルーヴを生み出すことに成功した、軽快なポップソングだった。

そこでふと思いたち、ほかの楽曲も聴いてみると、彼らの楽曲は、声の組み合わせ方、配置の仕方が面白い、ということに気付く。

声を切り刻み、エディットしていくやり方は、コーネリアスやプレフューズ73を思い起こさせる。
だが、彼らとの決定的な違いは、Beaglesはその手法をモロにポップ方面に振り切らせて使っているということだ。

DTMが主流となり、音楽の作り方も確実に変化しているこの時代において、彼らの作るポップソングは実にまっとうな進化を遂げている気がする。振り切ったポップ感と、アンバランスな歪さを伴った楽曲が、2012年の現代においてどのように響いていくか、今後が楽しみである。

ちなみに、私がこの文章の依頼を受けたとき、匿名でもいいか?とshinくんに尋ねてみた(それはTwitterのDM間でのやりとりだった)。
「匿名でも全く構いません。僕ら自身も匿名的なスタイルで活動しているグループなので。希望があれば当然ニックネームで掲載させていただきます」

「ところで、Beaglesはなぜ顔もプロフィールも明かさずに活動することにしたのですか?」
不意に思い立ち、私はそう尋ねてみた。

「自分自身がヴェールに包まれたものに惹かれるからかもしれません。例えば、僕はトマス・ピンチョンがどういう人間であるか、という想像を頭の中で一時間かき回している間に、たくさんの幸福と興奮に包まれたりします」

そう返してきた彼に、そしてBeaglesというミステリアスなグループに私は今、興味をもっている。

2012/05
RokuRokumi

【Silent Cruising】を聴いて

ベッドルームの片隅で、希望の灯を灯してもね
君は僕を愚かだと言う、それだけ、それだけ、

【Silent Cruising】



この曲を聴いたとき、私はとても悲しい気持ちになり、そして同時に誰かに優しく抱きしめられたような気分になりました。

Beaglesさんの音楽を聴いたとき、この人たちはもう諦めているんだ、と思いました。
諦めている、というのは、誰かとのコミュニケーションとか、将来に対する勝手な希望とか、自分を肯定する、という行為についてです。

だから、私はそんな気持ちになったのかもしれない。
この人たちの音楽は、ある意味、すごく自然だなと思い、安心したんだと思います。

2012/05
Ayuka Cozumi


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『nimanima』レビュー募集中

現在、Beaglesではニューアルバム『nimanima』のレビューを書いていただける方を募集しています。
たくさんの方々の言葉で、このアルバムがより多角的に語られることを、私たちは楽しみにしています。

レビューを書いていただける方、contactページより、本文の一番上に【nimanimaレビュー募集】と記載の上、レビューの文章を書いて送っていただけたら幸いです。
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