Self-Portrait/01 2012/08/12
『nimanima』というポップアルバムについて。
これは、ある思考と会話の断片である。
それらの欠片を切り取り、摘み取り、
私たちと彼らが共に望む方法で、
この文章は構築されている。
最近のあなたたちの活動を教えてください。
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次の音源の制作をしています。
また、『nimanima』の楽曲のリミックスを何人かの方にお願いしたり、自分たちでもリミックスしたり、
あと、『nimanima』からの楽曲をスタジオライブとしてアウトプットしようと考えています。
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『nimanima』の楽曲のレビューも募集していますよね?
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そうです。
先月は『Apricot sunday』のレビューを募集させていただきました。
また、そう遠くないうちに、別の楽曲のレビューも募集させていただく予定です。
今後の展開としては、『nimanima』の収録曲すべてのレビューを様々な方々に書いていただき、その文章をシェアしていけたらと考えています。
私たちは、このアルバムが様々な方々から語られることに興味があるのです。
『nimanima』のダウンロード販売を開始してから、もうすぐ半年が経過していようとしています。
しかし、あなたたちは今も変わらず『nimanima』をプッシュしています。
それはなぜですか?
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なぜ、というのはどういうことですか?
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つまり、他のグループは、半年が経過した頃には次の音源を出して、それをプッシュしたり、
自身の別のコンテンツをフューチャーするものだと思います。
ですが、あなたたちは『nimanima』を販売開始したばかりのように、今も変わらずにプッシュしている。
それはなぜなのか?ということです。
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それは私たちが、『nimanima』をBeaglesの代表作としてリスナーに浸透させたいという狙いがあります。
私たちにとって、このアルバムはひとつの到達点となっているのです。
既に次の音源は制作が開始されており、いくつかのものは完成系としてアウトプットされる機会を待っています。
ですが、それらがアウトプットされる前に、もう少し『nimanima』を様々な方に聴いてもらいたいと考えています。
いや、次の音源がアウトプットされた後も、私たちは『nimanima』をプッシュし続けるでしょう。
様々な方に聴いてもらいたい作品だし、そうあるべき作品だと私たちは自負しています。
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単刀直入に尋ねます。
『nimanima』の売れ行きはどうですか?
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正直よくはないです(笑)
ただ、私たちはアルバムの売れ行きがどうのこうのと悩む以前に、
まず認知度が低いのです。
そこをどうするかについてもっと考えなければならない。
次から次へと音源を出すことは簡単なことだけど、その前にやらなければならないことがある、ということです。
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『nimanima』を浸透させると同時に、あなたたちの認知度を上げていかなければならないということですね?
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そういうことです。
あなたたちがこのアルバムをひとつの到達点と捉えているのはよく分かりました。
あなたたちはこれからどこに向かうのでしょう?
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Salamiさんという女性トラックメイカーとのコラボレーション作品と、リミックスやスタジオワークを除けばということになるのですが、
今現在、私たちの制作している作品では、一切楽器には触れていません。
『声』と『日常から採取した音』のみで楽曲を構築するという試みを行なっています。
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Salami氏との作品については、また別のタイミングにてお伺いさせていただく予定ですので、今はあなたたちのその限定された音を使って楽曲を構築させるという試みについて伺いたいと思います。
なぜ、そのような試みを行おうと思ったのですか?
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私たちは楽器を使って楽曲を構築するということに、少々飽きてしまったのだと思います。
もちろん、今後楽器を使わなくなるという可能性は全くないし、今だってBeagles以外のプロジェクトでは私は楽器を弾いています。
ただ、Beaglesとして次の作品をどのように構築していくかということについて考えたとき、
まずは、その構築プロセスを変える必要があると感じたのです。
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それはなぜですか?
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先ほども申し上げたように、少々飽きてしまったのです、楽器を弾いて楽曲を構築することに。
私たちは『nimanima』という作品を出して、既存の方法論で楽曲を構築するということに満足してしまったのかもしれません。
あの作品はそういった意味でも、非常に健全なポップアルバムだと思うのです。
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なるほど。
それでは、今現在は、いわゆる『健全なポップアルバム』を作るモードではないということですか?
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そうです。
今、私たちは『nimanima2』を作ろうというベクトルにはいません。
私たちは自分たちの方法論を変える段階に来ているのだと思います。
私たちは元々ポップでエクスペリメンタルなことがやりたくて、Beaglesという媒体の中に潜んでいるのです。
Beaglesでのソングライティングは主にあなた(shin)が、行なっていますね?
今、あなたたちが試みている方法論の中において、あなたのソングライティングに何か変化はありましたか?
つまりは、以前と比べてソングライティングの方法に変化が生じたか?ということなのですが。
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特に変化はありません。
私は自身のソングライティングについて、それほどルールを設けているタイプではありませんから。
やり方はその日その日で変わっていきます。
ただ、今回の方法論にシフトしたあとでは、メロディーというものがひどく限定的なものであるということを実感しました。
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それはどういうことですか?
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つまり、私たちは、自分自身が認識できる音階の組み合わせにより、音楽というものを認識しています。
鍵盤上の音階然り、民族音楽などをはじめとする西洋音楽とは異質のスケールも然り。
だが、当然のことながら、世界に散らばるあらゆる音はそのような音階上で再現できるものではないのです。
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例えば、あなたはピアノ上で再現できない音階の組み合わせ、またはガムラン音楽に用いる音階から外れた位置にある、音階での組み合わせによるソングライティングを望んでいますか?
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面白そうだと思うし、いつかは実現させてみたいと考えています。
ただ、今それをやってしまうと、楽曲がひどく前衛的なものになってしまう。
恐らくひどくエクスペリンメタルでアブストラクトなものになるでしょう。
それは私の力量、そして知識不足による部分も大いにあるとは思いますが。。。
前衛的なものも好きではありますが、
私たちが今取り組んでいる方法論の中においても、Beaglesの楽曲はある種の大衆性を持っていなければならないのです。
誰かが口ずさめる楽曲でなければならない。
それはBeaglesというグループにおけるルールなのです。
私たちは、ただただ前衛的なことがやりたいわけではないのです。
ただただ前衛的なことがやりたければ、別のグループやら名義でやれば良いのです。
最後になりますが、
あなたは前衛性とポップさを両立させることは難しいことだと思いますか?
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それは、どのような形で両立させるか?ということにもよると思いますので、
一概には答えられません。
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先日某レコードショップに足を運んだ時に、
エクスペリメンタル、またはアバンギャルド+ポップという組み合わせで売り出されているバンドが多いことに気づきました。
あなたたちの音源がレコードショップで売り出されるとしたら、そのような括りになるのでしょうか?
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どうでしょうか?
それはレコードショップの方が決めることなので、私としてはそれについて特に発言することはありません。
ただ、私個人としては、そのような謳い文句で売られている8割のバンドは、どうでもいいような、前衛性のカケラもない単なるポップミュージックを垂れ流している、
不憫なバンドでしかありませんでした。
彼らはエクスペリメンタルであることを勘違いしているのだと思います。
私には理解できません。
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残りの2割のバンドをよろしければ教えてくれませんか?
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挙げるときりがないので、3組だけで良いですか?
『Animal Collective』
『CORNELIUS』
『Deerhoof』
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素晴らしいチョイスですね。
私が好きなグループばかりです(笑)
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それは良かった(笑)
どのグループも、ポップでありながらも実に刺激的な音を鳴らす、素晴らしいグループですよね。
Hot, summer afternoon.While sipping a cold Stout beer ./Mamoru Iida/Shin/.2012/08/04